【東京 11月24日】
本日未明、アメリカ陸軍の大型爆撃機B-29による空襲が、東京市各地を襲った。これは、昭和17年(1942年)4月の「ドーリットル空襲」以来およそ2年半ぶりとなる首都圏への本格的爆撃であり、日本本土への空襲再開を意味する重大な局面を迎えた。
午前中、関東地方上空にB-29とみられる編隊が飛来し、江戸川区・荏原区・品川区・杉並区などの住宅地および工業施設を標的として爆弾を投下。爆撃は高高度からの散布型とされ、火災や建物の損壊が相次いだほか、市民の死傷者も複数確認されている。
防空壕に避難していた住民は、「地鳴りのような音と共に家が揺れ、黒煙が空を覆った」と証言。また、荏原では工場地帯の一角が炎上し、消防隊の出動が続いている。被害の詳細は現在調査中だが、軍需施設に加え一般住宅の被害も深刻とみられる。
日本軍側は迎撃機を発進させたものの、B-29は高度1万メートル以上を飛行しており、有効な反撃は困難だった。陸軍は今後の防空体制の見直しを急ぐとともに、首都圏住民に対して空襲警報時の避難行動を徹底するよう呼びかけている。
この爆撃は、マリアナ諸島の基地(サイパン)から発進した部隊によるものとされており、太平洋戦線の戦局が本土直撃の段階に入ったことを如実に示すものである。市内では、明日以降さらなる攻撃への警戒が高まっている。
かつて安全とされた本土の空が、いまや前線と地続きとなった──市民の暮らしは、また新たな試練の只中にある。
— RekisyNews 社会面 【1944年】
