空を越え、映像が太平洋を渡る──日米間で初の衛星テレビ中継に成功

【東京 11月23日】

本日、日本とアメリカ合衆国の間で、通信衛星を用いた初のテレビ映像中継が成功裏に行われた映像は太平洋上空を周回する衛星「リレー1号」を経由して伝送され、日米双方のテレビ局でリアルタイムに受信された。人類の通信史において、衛星技術がついに報道の最前線へと活用された画期的な瞬間である。

当初、文化・技術紹介などをテーマにした映像実験が想定されていたが、中継初日に飛び込んできたのは、アメリカ・テキサス州ダラスで発生した衝撃的な速報だった前日(アメリカ東部時間11月22日)に発生したジョン・F・ケネディ大統領の暗殺事件が、衛星を通じて日本に緊急送信され、テレビを通じて国民に伝えられた

この中継は、宇宙空間に浮かぶ通信衛星を経由しながら映像と音声を地球上の受信局へ届けるという、高度な実験の一環として実施されたもので、日本側ではNHK技術陣とKDDが協力して受信に成功。放送では、大統領が撃たれた直後の混乱の様子や、ホワイトハウス前に集まる人々の姿などが映し出され、視聴者の間に大きな衝撃が走った

日米間の情報伝達が、ケーブルや無線ではなく「宇宙」を経由して実現されたことは、放送と通信の新たな時代の幕開けを象徴する出来事といえる。今回の成功を受けて、今後は国際報道や文化交流の手段として、衛星放送の実用化に向けた動きが一層加速すると見られている

— RekisyNews 科学面 【1963年】

アイキャッチ画像 Cliff – originally posted to Flickr as Iridium Satellite, CC 表示 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=6439519による

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