風船で太平洋横断へ──滋賀の男性、琵琶湖から「ファンタジー号」で挑戦飛行開始

【滋賀・彦根市 11月23日】

本日早朝、滋賀県彦根市の琵琶湖畔から、26個の大型風船を備えたゴンドラ「ファンタジー号」が大空へと舞い上がった。搭乗しているのは、冒険家・鈴木嘉和氏(当時39歳)。目的は、風船のみを動力とする手段での太平洋横断、最終目的地はアメリカ合衆国本土である

今回の挑戦は、従来の航空機や熱気球ではなく、ヘリウムガスを詰めた巨大風船に吊るされた小型ゴンドラによるもので、操縦や方向転換は困難を極める。しかし鈴木氏は長年この構想を温めてきたといい、「人力を使わない、空への夢の実現」と語りながら出発。現場では家族や支援者の見送りを受け、無事に離陸した。

「ファンタジー号」は気流を利用しながら上空を北東方向へと移動。初日は順調に飛行を続け、宮城県方面に向けて航行しているとの情報が入っている。本体には発信機や無線装置も搭載され、海上保安庁も飛行経路の安全確認を行っている。

気象条件は良好とされるが、無着陸での太平洋横断という前例のない試みに、周囲からは期待とともに大きな不安の声も上がっている。現在は上空の偏西風を捉え、東進を図る段階に入ったとみられる。

挑戦の成否や安全については不透明ながらも、鈴木氏の「空と夢」にかける情熱に、多くの人々が注目している

— RekisyNews 社会面 【1992年】

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