【南シナ海 11月21日】
本日未明、日本海軍の高速戦艦「金剛」が、フィリピン方面作戦からの帰還中にアメリカ潜水艦シーライオンの雷撃を受け沈没した。先月の激戦で損傷を抱えながらも帰投を急いでいた同艦は、夜間の航行中に待ち伏せ攻撃を受けたとみられ、戦局にとって大きな痛手となった。
海軍省の発表によれば、金剛はサマール沖での戦闘に参加後、僚艦や護衛艦艇とともに本土への帰還途上にあった。南シナ海の暗闇の中、バラオ級潜水艦シーライオンが発射した魚雷2本が命中。機関区付近に甚大な損害を受け、航行は急速に困難となった。浸水は短時間で全区画に広がり、復旧は不可能と判断されたという。
近隣を航行していた護衛駆逐艦が救助に向かったが、荒れる海と夜間の視界不良が作業を阻んだ。金剛は傾斜を深めながら炎を上げ、未明ごろ艦首を高く上げて沈没。乗員の多くが行方不明となっている。救助された兵は「艦が大きく震えた後、急激に傾いた。脱出は極めて困難だった」と証言した。
金剛は英国設計を基に第一次大戦期に竣工した日本艦隊の象徴的存在で、高速性能を買われ各地の機動作戦で前線を支えてきた。今回の喪失により、海軍は戦力の再編を迫られることは必至である。フィリピン方面の戦局は依然として厳しく、補給線の維持と艦隊の損耗が深刻な問題として浮上している。
— RekisyNews 戦況報道面 【1944年】
