UCLAとSRIを結ぶ新通信網、常時接続に成功──研究者ら「画期的な一歩」

【カリフォルニア州ロサンゼルス 11月21日】

米国防総省の高等研究計画局(ARPA)が支援する新しい計算機ネットワーク構想「ARPANET」で、本日、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)とSRI(スタンフォード研究所)を結ぶ常設接続回線が確立された。両拠点に設置された通信装置「IMP(インターフェイス・メッセージ・プロセッサ)」同士が、24時間稼働の恒常的な結合を実現したのは今回が初めてで、研究者らは「分散型通信の未来を切り開く重要な一歩」と評価している。

接続は専用回線を通じて行われ、UCLA側ではレナード・クラインロック教授の研究室が実験を担当。SRIでは同研究所の計算機とIMPが連動し、両地点間でのデータ転送試験が続けられている。研究チームによれば、小規模ながら安定したメッセージ交換が確認され、通信遅延やエラーの計測も良好な結果を示したという。

IMPはハネウェル社製のコンピュータを基に構築された特注装置で、送受信データを分割し、目的地に向け自動で転送する仕組みを持つ。これにより、障害が発生した経路を避けながら情報を届ける柔軟な通信網が構築できるとされ、従来の集中型回線とは異なる強靭性が期待されている。

関係者の間では、今後ユタ大学やUCサンタバーバラなど複数の研究機関がネットワークに接続する予定で、学術界全体の研究協力が一段と進むとの見方が広がる。ARPA担当者は「地理的に離れた研究機関を常時つなぐことが、計算機科学の大きな飛躍につながる」と述べた。

この小さな回線が、将来どこまで広がりを持つかは未知数だが、研究者たちは静かな興奮を隠せない。今日の成功は、学術と技術を結ぶ新たな通信時代の幕開けとなりそうだ。

— RekisyNews 科学技術面 【1969年】

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