【越前・吉崎 8月13日】
本願寺八世・蓮如上人が本日、越前国吉崎の地に新たな寺院「吉崎御坊」を建立し、落慶の法会を営んだ。北陸地方における真宗布教の拠点とするもので、全国各地から参詣者や門徒が集まり、吉崎の町は早くも活気を帯びている。
御坊は丘陵地を整地して築かれ、堅固な石垣と濠を備えた構えを持つ。堂内には阿弥陀如来像が安置され、広間では読経や法話が行われた。周囲には門徒の居住区が整えられ、宿坊や市が立つことで、参詣と交易が一体となった賑わいを見せている。
蓮如上人は近年、加賀や越前など北陸諸国に教線を広げており、吉崎はその地理的要衝として選ばれたという。上人は法会で「御坊は南無阿弥陀仏の声が絶えぬ場とし、迷いの世に灯をともす」と述べ、門徒たちに和合と信心を呼びかけた。
参集した農民や商人は、御坊の堂々たる姿に驚きつつも、「ここを拠り所に日々の苦しみを乗り越えたい」と口をそろえる。早くも周辺村落からは入門を望む者が増え、吉崎を中心に信徒の組織化が進む見込みだ。
一方、急速な門徒勢力の拡大を警戒する声もある。越前国内の寺社勢力や領主の中には、御坊の防備や組織力を軍事的脅威と見る向きがあり、今後の政治的影響が注目される。
吉崎御坊の建立は、北陸一円の宗教地図を塗り替える契機となりそうだ。
— RekisyNews 社会・文化面 【1471年】