【シアトル 11月20日】
米マイクロソフト社は本日、家庭用パーソナルコンピュータ向けの新しい表示環境ソフト「Microsoft Windows 1.0」をアメリカ国内で発売した。従来のMS-DOSが文字入力中心であったのに対し、画面上に複数のウィンドウを表示し、マウスで操作できる点が最大の特徴で、パソコンの使い勝手を大きく変える可能性を秘めている。
今回の製品では、電卓やメモ帳、カレンダーなどの簡易アプリケーションが同梱され、画面上で切り替えながら利用できる。各ウィンドウは完全な重ね合わせこそできないものの、並べて表示して作業することが可能で、同社は「誰にでも扱えるコンピュータ環境を提供する第一歩」と強調している。
シアトルの家電店では午前から販売が始まり、興味を示す利用者の姿が見られた。利用者の一人は「マウスで操作できるのが新鮮だ。ワープロ作成や家計管理にも使えそうだ」と語る。一方で、対応ソフトがまだ限られている点を懸念する声も上がっており、本格普及には時間を要するとの見方もある。
パソコン市場では、アップル社の「マッキントッシュ」が先行してアイコン操作を取り入れているが、MS-DOS環境上で動作するWindowsの登場により、IBM互換機でも同様の操作性が広がる可能性が出てきた。マイクロソフトは今後、対応ソフトの拡充と改良版の開発を進めるとしている。
— RekisyNews 経済・技術面 【1985年】
