【福岡県小倉市 11月20日】
戦後の復興資金を確保する新たな試みとして、本日、小倉競輪場で日本で初めての競輪競走が開催された。主催は小倉市で、自治体が公営競技としてレースを実施するのは全国で初めて。朝から多くの市民が会場に押し寄せ、戦後の混乱期にあって久々の娯楽と新制度への関心が重なり、熱気に包まれた。
開会式では市長が「市の財政再建に資するとともに、市民が未来に希望を持てる催しにしたい」と挨拶。続いて第1レースがスタートし、選手たちがバンクを力強く駆け抜けると、観客席から大きな歓声がわき起こった。配当金の支払い窓口には長い列ができ、職員は慣れない手続きに追われながらも対応にあたっていた。
競輪は車券売り上げの一定割合が自治体財政に繰り入れられる仕組みで、戦災復旧や社会福祉の財源として期待されている。小倉市はすでに売り上げの使途として、市内の道路復旧や生活インフラ整備などを挙げており、今後の継続開催にも意欲を示している。
会場に訪れた市民の一人は「暗い話題ばかりの中で、にぎやかな場所ができて嬉しい」と語った。新しい公営競技は、復興途上の地域にとって経済と活気を取り戻す象徴となりそうだ。
— RekisyNews 社会面 【1948年】
