【福岡 11月19日】
九州地域でPHS通信事業を展開してきたアステル九州が本日、すべての通信サービスを停止した。PHS事業者による停波は国内で初めてであり、利用者約十数万人に影響が及んでいる。停波の理由について同社は「収益改善の見通しが立たず、事業継続は困難」と説明した。
PHSは低料金と省電力を特徴とし、1990年代半ばから急速に普及したが、ここ数年は携帯電話の料金引き下げやエリア拡大の影響を受け、加入者が減少傾向にあった。アステル九州でも基地局維持費が経営を圧迫し、昨年から事業縮小が続いていた。
サービス終了に伴い、通話・データ通信は正午をもって順次停止。福岡市内の販売店前では、解約手続きに訪れた利用者が列をつくり、「長年使ってきたので残念」「急に携帯に替えるのは大変だ」と戸惑いの声が聞かれた。代替手段として大手携帯電話会社が乗り換え案内窓口を設ける動きもある。
通信業界では、競争激化により中小事業者の淘汰が加速する可能性が指摘されている。アステルグループ各社の経営状況も厳しく、今後の動向が注目される。PHS市場の揺らぎは、通信サービスのあり方そのものに変化を迫っている。
— RekisyNews 経済面 【2003年】
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