【東京 11月19日】
本日、佐藤栄作内閣は閣議を開き、戦後初となる赤字国債の発行を正式に決定した。歳入不足を補うために国債で一般会計を賄うのは初めてであり、財政運営の在り方が大きく転換する歴史的な決定として政財界に衝撃が走っている。
今回の措置は、景気対策と公共投資の拡充を背景に、歳出が膨らんだ一方で税収が伸び悩んだことに伴い、大幅な財源不足が生じたためとされる。大蔵省は、補正予算の編成に合わせて国債によって不足分を補う必要があると説明し、政府は「経済成長を止めないためのやむを得ない措置」として理解を求めた。
閣議後、佐藤首相は記者団に対し「財政規律は政府の基本であるが、国民生活と経済発展を最優先に判断した」と述べ、将来の財政健全化にも努力する姿勢を示した。大蔵官僚の間では、税収の根本的立て直しが急務であるとの声も上がっている。
一方、野党側は「国の財布が破綻に向かう第一歩だ」と強く反発。国会でも、歳出の見直しを求める追及が激しさを増す見通しだ。市場では、国債発行が金融政策や金利に与える影響を慎重に見極めようとする動きが広がっている。
高度成長を維持するための苦渋の選択か、それとも財政の転機となる一歩なのか。国の財政運営は、今まさに岐路に立っている。
— RekisyNews 経済面 【1965年】
アイキャッチ画像 内閣官房内閣広報室 – kantei.go.jp – 第1次佐藤内閣第1次改造内閣, CC 表示 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=119418691による
