【山城国・平安京 11月18日】
桓武天皇は本日、山背国(山城国)の新京・平安京へ正式に入御し、長岡京からの遷都を完了した。わずか10年あまりでの都替えは異例であり、政治の刷新と王権の安定を図るうえでの重大な決断として注目を集めている。
新たな平安京は、中国・唐の長安城を模した条坊制を敷き、南北に走る朱雀大路を中心に左右対称の都市計画が施された。内裏が北端に構えられ、官庁街である大内裏を取り囲むように街区が整えられている。広大な敷地に新宮殿を備え、市街は将来の人口増大を見込んだ壮大な規模だという。
長岡京では、造営途上での疫病流行や早良親王事件など、政治に不安をもたらす出来事が続いていた。これが遷都の大きな要因とされ、新都では厄災を避け、王権の威信を回復する狙いがあるとみられる。貴族の多くは新都入りに同行し、主要官人はすでに新庁舎で政務を開始した。
平安京は水運と陸路の要衝に位置し、都の発展に有利な条件を備えている。鴨川を中心に豊かな水資源があり、南部には奈良・近畿各地へと通じる道路が延びる。都人の間では「千年の都になる」との声も早くから囁かれている。
桓武天皇は入京の儀式で「国の安寧と政の正しさを新都より広める」と述べ、新時代の治世に意欲を示した。新たに開かれた王城・平安京がどのような歴史を刻むのか、人々の期待が高まっている。
— RekisyNews 歴史面 【794年】
