ソ連、「ルナ17号」月面着陸に成功 世界初の月面車探査へ

【モスクワ 11月17日】

ソビエト連邦は本日、無人月探査機「ルナ17号」が月面への着陸に成功したと発表した。同機には世界初の自走式月面探査車「ルノホート1号」が搭載されており、月面を走行して観測を行う計画は人類史上初の試みとなる。宇宙開発競争が続く中、ソ連が再び重要な一歩を刻んだ。

ルナ17号は今月10日に打ち上げられ、数日間の飛行を経てシーモーア海付近の平坦地帯へ軟着陸した。着陸後、探査機側面のスロープがゆっくりと降ろされ、八輪車のルノホート1号が月面へと慎重に出走。地上の操作班はモスクワ近郊の管制施設から遠隔操作を行い、初期走行は順調に進んでいるという。

ルノホート1号は太陽電池で発電し、夜間は蓄電池と搭載ヒーターで温度を維持。テレビカメラ、放射線計、土壌密度計などを備え、地形観測や物質分析を行う予定だ。探査車のデータはリアルタイムで送信され、その鮮明な映像は研究者の間で「新たな窓が開いた」と驚きをもって受け止められた。

アメリカがアポロ計画による有人探査を進める一方、ソ連は無人技術を中心に成果を積み上げており、今回の成功は「ロボット科学の勝利」と評されている。有人計画を見据えるかは明らかにされていないが、月探査競争は新たな局面に入りつつある。

— RekisyNews 科学・宇宙面 【1970年】

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