【リュッツェン近郊 11月16日】
神聖ローマ帝国全域を揺るがす三十年戦争のさなか、本日、ザクセン選帝侯領のリュッツェン近郊でスウェーデン軍と皇帝軍が激突する大規模な会戦が行われた。戦闘はスウェーデン軍が勝利したものの、総司令官であるスウェーデン王グスタフ2世アドルフが戦死し、欧州全土に衝撃が走っている。
夜明け前から濃霧に包まれた戦場で、スウェーデン軍は皇帝軍総司令官アルブレヒト・フォン・ヴァレンシュタイン率いる陣地に攻勢を開始。戦列に配置された砲兵隊が霧の合間に火を噴き、両軍は入り乱れる白兵戦へと突入した。午前中、国王グスタフ自らが騎兵を率いて右翼の突破を図ったが、混乱の中で敵陣に深く入り込み、銃弾を受け落馬。護衛兵の必死の奮戦も及ばず、戦場で息絶えた。
午後になると霧が晴れ、スウェーデン軍は国王の死を知らされながらも士気を保ち、増援のザクセン軍とともに反撃。皇帝軍は陣地を維持できず、夕刻にはリュッツェンからの撤退を余儀なくされた。勝利後の戦場ではグスタフ王の遺体が確認され、兵士たちはその死を悼んで静かに告別した。
グスタフ2世は「北方の獅子」の異名で知られ、火器と機動力を重視した革新的戦術でスウェーデンを強国へと押し上げた指導者だった。国王の死はプロテスタント陣営にとって痛恨であり、欧州の勢力均衡に重大な影響を及ぼすことが予想される。戦争はなお終わりの兆しを見せていない。
— RekisyNews 国際面 【1632年】
