【東京 11月16日】
ソニー株式会社とソニー・ミュージックエンタテインメントは本日、家庭用ゲーム事業を本格展開する新会社「ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)」を設立した。代表取締役社長には小澤敏雄氏、副社長には丸山茂雄氏が就任し、音楽とエレクトロニクスの両分野で培ったノウハウを生かし、新たなエンタテインメント市場の開拓を目指す。
新会社は、CD-ROMを用いた高性能ゲーム機の企画・開発・ソフト販売を一体で担う構想で、社内ではコードネームで呼ばれる次世代機プロジェクトが進行中とされる。ハードウェア設計にはソニー本体の技術陣に加え、「プレイステーション」構想を推し進めてきた久夛良木健氏らが参加し、将来の世界展開を視野に入れた体制が敷かれている。
現在の家庭用ゲーム市場は、任天堂や海外メーカーが主導するカートリッジ式ゲーム機が主流だが、SCEはCDメディアの大容量と映像・音楽表現の自由度に勝機があるとみている。小澤社長は「ソニーらしいデジタルエンタテインメントを世界の家庭へ届けたい」と語り、丸山副社長も「レコード会社で培ったクリエイターとのネットワークを生かし、新しいゲーム文化をつくる」と意気込みを見せた。
エレクトロニクス大手が自らゲーム専業会社を立ち上げるのは国内でも異例であり、業界関係者の間では「テレビとオーディオに続き、リビングの主役をかけた新たな争いが始まる」との見方も出ている。
— RekisyNews 経済・文化面 【1993年】
