【仙台 8月13日】
東北帝国大学工学部の八木秀次教授が、本日、新型指向性アンテナの特許を取得した。複数の金属素子を一直線に配置することで特定方向の電波受信・送信効率を飛躍的に高める構造であり、長距離無線通信や放送技術の発展に大きく寄与すると期待されている。
この新型は、給電用の「駆動素子」を中心に、前方に「導波素子」、後方に「反射素子」を配置。これらの長さや間隔を調整することで、電波の進む方向へ集中的にエネルギーを送ることが可能となる。従来型アンテナに比べて指向性が強く、不要な方向への損失が少ないため、送信電力の節約と受信感度の向上が同時に実現できるという。
八木教授はこれまで短波・超短波の研究を重ね、世界各地の学会でも成果を発表してきた。今回の特許取得にあたり、「この構造は遠距離通信だけでなく、放送や探知にも応用可能。将来は飛行機や船舶の通信設備にも役立つだろう」と抱負を語った。
地元の無線愛好家は「小規模な装置でも性能を引き出せるのが魅力」と評価。郵政当局の技術官も「山岳地や離島など、これまで電波が届きにくかった地域での活用が見込める」と述べている。
今回の発明は、我が国の無線通信技術を世界水準へ押し上げる可能性を秘めており、海外からの注目も高まっている。仙台から放たれた新しい構造が、やがて世界の電波塔を変えるかもしれない。
— RekisyNews 科学面 【1926年】