【モスクワ 11月16日】
ソ連国家宇宙計画は本日、金星表面への到達を目的とする宇宙探査機「ベネラ3号」をバイコヌール宇宙基地から打ち上げた。探査機が無事に目標軌道へ投入されたことが確認され、各国の宇宙関係者から注目が高まっている。金星表面への到達を目指す試みは史上初であり、宇宙開発競争の新たな局面を示すものだ。
ベネラ3号は重量約1トンの探査機で、内部には耐圧構造を備えた着陸カプセルを搭載。金星大気圏への突入を想定し、高温・高圧環境での通信維持を試みる。ソ連宇宙庁によれば、探査機は数か月後に金星へ接近し、適切な時期にカプセルを分離する計画だという。成功すれば、金星表面への人類初の到達として歴史的偉業となる。
金星は地球に近い惑星でありながら、濃密な大気と高温の環境を持ち、その詳細はほとんど解明されていない。科学者の間では、ベネラ計画によって金星大気の組成や表面環境の解明が進むとの期待が出ている。一方、西側諸国でも関心は高く、アメリカは「マリナー計画」によって惑星探査を進めており、宇宙科学分野での競争はさらに激しさを増しそうだ。
ソ連当局は「我々は未知の世界へ踏み出す」と声明を発表した。金星への挑戦は、宇宙探査の歴史に新たな一歩を刻むことになりそうだ。
— RekisyNews 科学面 【1965年】
