昭和天皇、誤って別方向へご案内 桐生市で思わぬ混乱

【群馬県桐生市 11月16日】

本日午前、行幸中の昭和天皇陛下が桐生市内で予定とは異なる方向へ案内されるという、いわゆる「誤導事件」が発生した。行幸経路を先導していた地方警察の誘導が誤り、市街地で陛下の御料車が一時的に予定外の道へ進入したもの。幸い危険はなく、行幸日程にも大きな支障は生じなかった。

陛下は北関東地方視察の一環として本日桐生市を訪れた。市内では織物工場の視察や住民との接触が予定され、多くの市民が沿道で奉迎の旗を振っていた。しかし正午前後、御料車を先導していた警察官が交差点で進路を誤り、御料車が本来向かうべき経路から外れる事態となった。沿道では一時騒然となり、警察官らが急ぎ修正に走る姿が見られた。

誤導は数百メートルほどの範囲で、陛下は随行員の案内に従い落ち着いて行動。御料車はまもなく正規ルートへ復帰し、午後の行程は滞りなく進められた。警察当局は「誘導担当者の指示確認不足によるものであり、陛下にご迷惑をおかけしたことを深くお詫びする」と声明を発表した。

市民の間では「驚いたが、大事がなくて何よりだ」と安堵の声が広がる。一方で、行幸時の警備体制の見直しを求める声も出ており、地方行政と警察組織にとって教訓となる出来事となった。

— RekisyNews 社会面 【1934年】

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