【サスカチュワン 11月16日】
今年春に起きたノースウェスト反乱の指導者として逮捕されていたルイ・リエルが、本日、州都レジャイナの牢獄にて絞首刑に処された。メティス(先住民と欧州系移民の混血住民)を中心とした武装蜂起を率いた責任を問われ、反逆罪で死刑判決を受けていた。
リエルは、メティスと先住民の土地権利が侵害されつつあるとして、連邦政府に自治権の拡大と生活の保護を求めていた。だが交渉は決裂し、今年3月、サスカチュワン川流域で武力衝突が発生。ダックレイク、フィッシュクリークの戦闘を経て、5月のバトルフォード付近での敗北により、反乱勢力は総崩れとなった。リエルは捕虜として連行され、7月に裁判が始まった。
審理では、政府に対する反逆行為が争点となったが、リエル側は「暴力を望んだのではなく、放置された民の権利を訴えたのみ」と主張。精神状態を巡る議論も起きたが、陪審は有罪を支持し、裁判所は死刑を宣告した。これに対しケベック州を中心に減刑を求める声が高まり、英仏両系住民の間に激しい世論の対立を生んだ。
処刑は午前8時頃に執行され、リエルは最後に「わたしは自らの民のために死ぬ」と述べたと伝えられる。メティスの人々は深い悲しみに沈む一方、政府関係者は「国家秩序の維持に必要な措置」として理解を求めている。西部開拓が加速する中、その影で揺れる先住民社会の問題は、いっそう注目を集めそうだ。
— RekisyNews 国際面 【1885年】
