大阪万博跡地に「国立民族学博物館」開館 人類の文化をつなぐ新拠点

【大阪府吹田市 11月15日】

1970年の日本万国博覧会跡地に、本日、国立民族学博物館(館長:梅棹忠夫氏)が開館した。世界各地の民族文化を総合的に研究・展示する日本初の国立機関であり、人類の多様な生活と歴史を学ぶ拠点として注目を集めている。

同館は、文化庁と文部省の協力のもと設立されたもので、敷地は万博記念公園の一角、かつてアメリカ館があった場所に位置する。建物は地上4階・地下1階、延べ約4万平方メートル。館内には約20万点に及ぶ民族資料が収蔵され、アジア、アフリカ、ヨーロッパ、アメリカ、オセアニアの五大陸別に展示が構成されている。

開館式には学界関係者や各国の大使館員らが参列。館長の梅棹氏は式辞で「民族学は人類を分ける学問ではなく、結びつける学問である」と述べ、文化相互理解の重要性を訴えた。来館者は展示物に直接触れる体験型コーナーや、民族音楽を聞ける音響室などを熱心に見学していた。

この施設は、展示のみならず研究・教育の機能も兼ね備えており、京都大学などと連携して共同調査や資料収集を行う予定。多様な文化が交差した万博跡地に再び「世界の縮図」が誕生し、人類学の新しい時代が幕を開けた。

— RekisyNews 文化・社会面 【1977年】

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