パスツール研究所、パリに開設──感染症研究の拠点誕生

【パリ 11月14日】

本日、フランスの首都パリにおいて、人類の感染症との闘いに新たな一歩を刻む研究機関「パスツール研究所(Institut Pasteur)」が正式に開設された。狂犬病ワクチンの開発者として知られる細菌学者ルイ・パスツール氏の提唱により設立されたこの施設は、今後、伝染病の予防と治療を目的とした世界有数の科学研究機関となることが期待されている。

同研究所の設立は、1885年にパスツール氏が狂犬病ワクチンの臨床的成功を収めたことがきっかけとなった。ワクチン接種によって命を救われた人々やその家族から多くの寄付が寄せられ、政府や民間からの支援も相まって、この国際的な医学生物学研究センターが実現するに至った。

研究所には、感染症やワクチンに関する専門的な研究設備が整えられており、すでに複数の科学者たちが黄熱病、コレラ、結核といった深刻な病の原因究明に着手している。また、パスツール氏自身も研究所長として精力的に関与しており、若い研究者たちへの指導も行う方針だという。

式典には、政府関係者、科学界の著名人、国外の研究者らも出席し、パスツール氏の功績と研究所の意義に対する敬意が表された。衛生環境が未だ脆弱な地域の多いこの時代において、本研究所の誕生は人類の健康と未来を切り拓く光明となりそうだ。

— RekisyNews 科学面 【1888年】

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次