【ニューヨーク 11月14日】
ニューヨーク・ワールド紙の若き女性記者ネリー・ブライ氏が本日早朝、80日間での世界一周という前人未踏の挑戦へと旅立った。これは、ジュール・ヴェルヌの小説『80日間世界一周』に触発された企画で、実際にそれを成し遂げるべく、西回りルートでの世界一周に単身挑むものである。
当初は女性の長旅は困難とされ、編集部内でも反対の声があったが、ブライ氏はこれを強く押し切り、わずか一つの小さなバッグと記者魂を手に汽船に乗り込んだ。彼女はアメリカからヨーロッパ、インド、中国、日本などを経て再びアメリカに戻る計画を立てており、列車と汽船を駆使して進む予定だ。
この大胆な挑戦は、単なる旅行ではなく、女性の社会進出と行動力を世に示す象徴的な出来事として注目されている。また、同じ日に別の新聞社から別ルートで女性記者が出発するという報道もあり、メディア間の競争も加熱している。
果たしてブライ氏は、80日間以内にニューヨークへ戻ってくることができるのか──世界中の読者が、彼女の冒険を息をのんで見守っている。
— RekisyNews 国際面 【1889年】
