【ワシントン 11月12日】
アメリカ航空宇宙局(NASA)が打ち上げた無人惑星探査機「ボイジャー1号」が本日、土星に最接近し、かつてない鮮明な画像と貴重な観測データを地球に送信した。最接近距離は約12万4千キロメートルに達し、探査機は土星の輪の構造、気象、大気、衛星などについて詳細な観測を行った。
今回の接近により、土星の環は想像以上に複雑な構造を持つことが判明。微細な“間隙”が複数存在し、これまで知られていなかった「編み目模様」や放射状の模様も確認された。また、衛星のタイタンについては、分厚い大気が窒素を主成分とし、メタンが存在することが確認された。これは地球以外での生命の可能性を考えるうえで重要な手がかりとなる。
さらに、アトラス、プロメテウス、パンドラといった複数の新しい小衛星も撮影され、土星の衛星の数は20個を超えるとみられている。これらの衛星の一部は環の形成や維持にも関与している可能性があり、今後の研究が待たれる。
1977年に打ち上げられたボイジャー1号は、1979年の木星接近に続き、今回の土星接近により太陽系外縁への旅を続ける段階へと入る。同時期に打ち上げられた「ボイジャー2号」も土星接近を控えており、NASAは両探査機によるデータで太陽系の構造や惑星間空間の理解が大きく進むと期待している。
— RekisyNews 科学面 【1980年】
