【ロンドン・ホワイトチャペル 11月9日】
本日早朝、ロンドン東部ホワイトチャペル地区のミラーズ・コート13番地にて、住人である若い女性の変死体が発見された。被害者はメアリー・ジェイン・ケリー(推定25歳)とみられ、遺体はひどく損壊されていた。
現場を訪れた警官や検視医らの報告によれば、遺体は室内ベッド上で激しく切り裂かれており、内臓の一部が取り出されていた。その惨状は、過去数か月にわたり同地区を恐怖に陥れている連続猟奇殺人犯――いわゆる「切り裂きジャック」による犯行と酷似している。
ケリーは売春を生業としており、近隣住民によれば、昨晩遅くに男性と共に帰宅する姿が目撃されていたという。部屋は内側から施錠されていたことから、犯人は彼女に招かれた可能性が高いと見られている。
切り裂きジャックによる犯行はこれで5件目とされるが、今回が最も残虐な手口であるとの声もある。警察は改めて周辺の捜査体制を強化し、情報提供を呼びかけているが、いまだ犯人の特定には至っていない。
— RekisyNews 社会面 【1888年】
