膨大なる国史百科、ついに刊行──『古事類苑』第一冊を頒布開始

【東京 11月8日】

内務省神宮司庁が編纂を進めていた大規模国史辞典『古事類苑』の刊行が本日ついに始まった。第一冊は「神祇」部門にあたり、神道に関わる文献を古代から近世に至るまで広く収集・分類したものである。

『古事類苑』は明治政府による国学振興政策の一環として企画されたもので、天皇・儀礼・政治・法制・衣食住・芸能など、あらゆる分野にわたる史料を体系的に整理・収録する一大事業である。明治15年(1882)に編纂事業が始まり、実に14年の歳月をかけて第一巻の完成に至った。

用いられた典籍は漢籍・和書を問わず約1,000種以上にのぼり、引用も忠実に原文を掲載。学術的厳密性を保ちつつ、引用元を明示する体裁は、今後の国史研究・古典研究に大きな資するものと期待されている。

冊数は全100冊を超える予定で、刊行は長期にわたる見込み。まさに日本版「百科全書」とも呼ぶべき規模の本事業に、学界・官界からの注目も高い。

— RekisyNews 文化面 【1896年】

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