【東京 11月7日】
帝国の機密を外国へ漏洩したとして裁かれていたリヒャルト・ゾルゲ及び尾崎秀実の両被告に対し、本日、刑が執行された。この処置により、一連の大逆事件に終止符が打たれた形となる。
ドイツ国籍の新聞記者ゾルゲは、駐日大使館の記者資格を持ちながら、在日ソ連の諜報網を組織し、日本国内の政界・軍事情報を国外へ伝達していたとされる。また、尾崎被告は内閣の嘱託として近衛文麿元首相に仕えていた経歴を持ち、政権中枢に近い立場から機密情報を提供していたことが、軍事裁判により認定されていた。
両名はすでに昭和16年に検挙され、長期にわたる取り調べと軍法会議の審理を経て、極刑が確定していた。本日未明、東京・巣鴨拘置所にて刑が執行されたものと見られる。
本件は国内外に大きな衝撃を与えた事件であり、戦時下の機密保持の重要性と共に、国民の警戒を促す象徴的な出来事と位置づけられている。
今後、情報漏洩防止の体制強化がさらに進められることが予想され、関係省庁では再発防止に向けた内規の見直しなども急がれている。
— RekisyNews 社会面 【1944年】
