【岐阜 8月12日】
岐阜市内を本拠とする岐阜放送テレビが本日、UHF帯の電波を用いた民間テレビ局として全国で初めての本放送を開始した。チャンネル番号は37ch、岐阜・愛知・三重の一部を対象エリアとし、ニュース・地域情報・娯楽番組を中心に編成する。これにより、東海地方の放送網に新たな選択肢が加わった。
午前9時、岐阜市長良の送信所から送信が始まり、開局特別番組として市内小学生の鼓笛隊パレードと関係者の式辞が中継された。式典で放送局長は「地域の声を全国に届け、地元の文化を育む放送を目指す」と抱負を述べた。
UHFは従来のVHFに比べて電波の直進性が高く、送信設備や受信アンテナの更新が必要だが、周波数の割り当てに余裕があるため新規参入が可能となった。郵政当局は「地域性を重んじた放送局の増加が期待できる」としており、他県からも開局準備の動きが出ている。
初年度は自社制作のローカル番組を1日3時間程度放送し、残りは他局からのネット番組で編成。夕方のニュースや農業・観光情報など、地元密着型の内容を重視する。開局初日の目玉は、岐阜市内の鵜飼実演中継や郡上踊り特集で、視聴者からは「地元の映像がテレビで見られる日が来るとは」との喜びの声が寄せられた。
開局に伴い、市内電器店ではUHF対応アンテナの需要が急増しており、専門業者は「設置依頼が殺到している」と話す。岐阜放送テレビの誕生は、地方放送の多様化と技術革新の象徴として注目されている。
— RekisyNews 社会面 【1968年】