【京都 11月6日】
京都競馬場で本日行われた第55回菊花賞(芝3000メートル)は、圧倒的1番人気のナリタブライアン(牡3、栗東・大久保正陽厩舎、騎手南井克巳)が快勝し、日本競馬史上5頭目となる三冠馬の栄誉を手にした。皐月賞、東京優駿(日本ダービー)に続く堂々たる勝利で、シンボリルドルフ以来10年ぶりの偉業達成となった。
レースは序盤こそ落ち着いた流れだったが、2周目の向正面から徐々にペースが上がり、ナリタブライアンは持ち前の末脚で外を回って進出。直線に向くと他馬を一気に突き放し、2着との差は驚異の7馬身。最後は南井騎手が手綱を抑える余裕のままゴールを駆け抜けた。観客席からは「強すぎる!」の声とともに、割れんばかりの拍手が沸き起こった。
南井騎手は「プレッシャーは大きかったが、彼の走りを信じていた」と笑顔で語り、大久保調教師も「三冠は馬とスタッフ全員の努力の結晶」と誇らしげにコメントした。
ナリタブライアンは父ブライアンズタイム、母パシフィカスの血統で、2歳時から頭角を現し、世代最強馬として注目を集めてきた。持ち前のスピードと持久力に加え、冷静な気性がその強さを支えている。
会場には6万人を超えるファンが詰めかけ、偉業の瞬間を見届けた。京都競馬場は興奮と歓喜に包まれ、レース後には「平成の怪物」「無敵の三冠馬」との声が飛び交った。日本競馬界に新たな伝説が誕生した瞬間である。
— RekisyNews スポーツ面 【1994年】
