霧の中の激戦、連合軍が辛勝 セヴァストポリ包囲下でインカーマンの戦い勃発

【インカーマン高地 11月5日】

本日未明、セヴァストポリ近郊インカーマン高地において、クリミア半島を巡る戦争の中でも屈指の激戦が勃発した。濃霧に包まれた早朝、ロシア帝国軍約4万人が突如として英仏連合軍の陣地を急襲。戦端は午前6時頃に開かれ、砲声と銃撃が断続的に響き続けた。

主力で応戦したのは英国第2師団を中心とした約8,000の兵力であり、当初は数に劣る英軍が苦戦を強いられた。だが、練度と陣地の優位性を活かしてロシア軍の波状攻撃を耐え抜き、やがて仏軍の増援部隊が到着。午後には連合軍が反撃に転じ、ロシア軍は兵力の損耗と士気の低下により撤退を余儀なくされた。

戦闘終結後の情報によれば、ロシア軍は約10,000人の戦死傷者を出した模様。一方、連合軍側の損害も小さくなく、特に英軍においては約2,500名が戦死または重傷と伝えられている。多くの戦死者が泥濘の斜面に倒れたまま放置されており、戦場の悲惨さは日を追うごとに明らかになっている。

この戦いにより、セヴァストポリ包囲線の維持は当面安定する見通しとなったが、兵士たちの疲弊は深刻であり、補給と交代の体制強化が急務とされている。現地の野戦病院には負傷兵があふれ、衛生状態も極めて劣悪。冬を目前に控えた連合軍にとって、今後の持久戦が新たな試練となる可能性もある

連合国の勝利により欧州世論は弾みを得たが、ロシア軍の攻勢は今後も続く見込み。セヴァストポリ攻略の行方は依然として予断を許さない。

— RekisyNews 国際面 【1854年】

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