巨大反射衛星「エコー1A号」打ち上げ成功 米、宇宙通信実験へ

 【ワシントン 8月12日】

米航空宇宙局は本日未明、バージニア州ウォロップス島から大型ロケット・ソー・デルタで直径約30メートルの球形衛星「エコー1A号」を打ち上げ、地球周回軌道への投入に成功した。エコー1A号は金属コーティングされた薄いプラスチック膜で構成され、宇宙空間で膨張して巨大な反射面となり、電波通信の中継実験に使用される。

衛星は高度約1600キロの軌道を回り、1周約2時間で地球を周回する。地上から送信されたマイクロ波を反射し、遠隔地との音声・画像伝送の可能性を検証するのが目的だ。実験初期には、カリフォルニア州とニュージャージー州間での双方向通信が計画されており、成功すれば将来の国際通信網構築に道を開くと期待される。

発表によれば、エコー1A号は太陽光を強く反射するため、晴天時には夜空に肉眼で光点として確認できる見込み。天文学者や無線愛好家の間では「人工天体を目で追える新時代」として関心が高まっている。

今回の打ち上げは、昨年5月に失敗した初号機の再挑戦でもあり、地上設備の改良と展開機構の強化が奏功した形だ。NASAの広報官は「この成功は、宇宙を利用した実用通信の第一歩」と述べ、気象観測や教育放送など応用分野への拡大に意欲を示した。

米国は既に有人宇宙飛行計画と並行して衛星通信の研究を進めており、宇宙が通信と情報伝達の主要な舞台となる時代が現実味を帯びつつある。

— RekisyNews 科学面 【1960年】

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