【東京 11月4日】
本日午後7時過ぎ、立憲政友会総裁で内閣総理大臣の原敬氏(65)が、東京駅構内で刺殺されるという衝撃的な事件が発生した。犯人はその場で取り押さえられ、動機や背景について警察が取調べを進めている。
事件が起きたのは、原首相が東北方面への視察のため、東京駅南口の貴賓玄関から列車に乗車しようとしていた際である。群衆の中から一人の若い男が近づき、突然短刀で原首相の胸部を刺突。原氏は出血多量のためその場で絶命した。
犯人は、元鉄道職員の中岡艮一(なかおか・こんいち)と名乗っており、国家に対する不満や私的動機が入り混じった供述をしているという。警察当局では、思想的背景も含め、背後関係の有無についても捜査を進めている。
原敬氏は、本格的な政党内閣を率いた「平民宰相」として知られ、政界においては実務家として手腕を振るってきた指導者であった。外交や地方自治、鉄道政策など幅広い分野で実績を残しており、政権は安定基調にあっただけに、今回の事件は国政に深刻な影響を及ぼすと見られている。
政府関係者や各政党からは一斉に弔意と驚きの声が上がっており、明日以降、政局の混乱は避けられない情勢である。なお、国葬も含めた対応については追って協議される模様。
日本の近代政治史における初の現職首相暗殺事件として、国民に大きな衝撃を与えている。
— RekisyNews 政治面 【1921年】
