【モントリオール 11月3日】
カナダ・ローワー・カナダ(現在のケベック州)において、北米初の民間商業銀行となる「モントリオール銀行(Bank of Montreal)」が、本日正式に創業した。
通貨や信用取引の不安定さが続いていた中、安定的な紙幣発行と預金・融資サービスを目的として、地元の有力商人・実業家らが出資・設立したもので、カナダ経済の近代化に向けた大きな一歩となる。
創業時の資本金は25万カナダポンド(約50万米ドル)とされ、当面はモントリオール市内での取引に集中する方針だが、将来的にはトロントやケベックシティなど他都市への展開も視野に入れているという。
本銀行は、現在のセント・ポール通り沿いに設置された仮店舗から業務を開始し、地元商人への信用供与、商取引決済、公共事業への融資などを柱とする。
また、イギリス本国との通商に伴う外貨取引や信用状発行も行う予定で、これまでイギリス資本に依存していた金融面での自立を促す存在として大いに期待されている。
設立に携わったのは、ジョン・リチャードソン、ジョージ・モファット、ホルゲート兄弟などモントリオールの著名な貿易関係者たちで、彼らは「商業と投資の安定を通じて国家の繁栄を築く」との理念を掲げ、地域経済の支柱となるべく運営に乗り出した。
これまで紙幣は各植民地や個人業者が乱発しており、信用不安や偽札も横行していた。
だが、モントリオール銀行では厳格な会計基準と管理体制を敷き、正規の銀行券を発行することで、市場における信頼回復を図る方針だ。
今後数十年のうちに、この銀行がカナダ全土、さらには北米全域で中心的役割を果たす可能性もある――金融の新時代が、今日モントリオールから幕を開けた。
— RekisyNews 経済面 【1817年】
