【東京 11月3日】
本日、明治天皇の誕生日にあたる天長節の祝賀行事が宮中にて盛大に執り行われ、式典のなかで我が国の国歌とされる「君が代」が初めて公式に披露された。雅楽隊の奏でる旋律に乗せ、厳かに歌い上げられたこの歌は、出席者の間に深い感銘を与えた。
「君が代」は、古今和歌集に所収される和歌に由来し、すでに数年前より国歌としての採用が検討されていた。歌詞は以下の通り:
君が代は
千代に八千代に
さざれ石の
巌となりて
苔のむすまで
旋律については、当初イギリス人軍楽隊長フェントンによって作曲されたが、和風の趣に乏しいとの意見から、日本人音楽家が雅楽調に改めて編曲したものが本日の式典にて演奏された。今回演奏されたのは、林広守を中心とする楽師たちによる編曲と伝えられる。
明治政府は近代国家の象徴として国歌制定を急いでおり、国際儀礼上の整備の一環として「君が代」の全国的普及を図る方針だ。今後、宮中行事のみならず学校・軍隊・官公庁などでも演奏される機会が増える見通しである。
今日の披露により、「君が代」は日本を代表する公式の祝典歌としての地位を確立することとなった。
— RekisyNews 文化面 【1880年】
