【東京 11月1日】
本日、節米を目的とした国策の一環として、全国の主要鉄道駅にて駅弁が一斉に「芋弁当」へと切り替えられた。これは軍需優先の食糧統制を背景に、一般国民の米消費を抑えるための措置であり、すでに内務省・鉄道省・農林省による協議のうえ決定されていたもの。
「芋弁当」は、白米の代わりにさつまいもやじゃがいもを主食とし、付け合わせに梅干しや漬物、時に乾物類を添える質素な内容。本日朝より、東京駅・大阪駅・名古屋駅など全国のターミナル駅では、これまでの米中心の駅弁が姿を消し、一斉に統一された。
駅構内には、「いもを食べよ、兵を支えよ」の標語とともに節米の呼びかけが掲げられ、利用客も黙々と列に並んで新たな弁当を受け取る様子が見られた。中には落胆の声も聞かれたが、「お国のために」と言葉少なに去ってゆく姿が印象的であった。
この施策は、戦局の長期化を見据えた「耐乏生活」の象徴とも言える。政府関係者によれば、駅弁に限らず、今後も外食・配給制度のさらなる厳格化が検討されているという。
— RekisyNews 社会面 【1943年】
