【長崎 11月1日】
本日、長崎の三菱重工業長崎造船所にて、日本海軍が建造を進めていた新鋭戦艦「武蔵」の進水式が厳かに執り行われた。極秘裏に進められてきた本計画は、昭和12年に起工されてから3年。ついにその巨体が海へと姿を現した。
武蔵は、かねてより建造が進められていた大和型戦艦の2番艦にあたり、その基準排水量は約6万4千トン、主砲には世界最大の46センチ砲を装備予定とされている。戦艦「大和」と同様、その全容は軍事機密に包まれているが、国民の間では「未曾有の超弩級艦」として噂されてきた。
本日の式典は、造船関係者と海軍高官のみによって行われ、一般の立ち入りは厳重に制限された。艦名「武蔵」は、旧国名の「武蔵国」にちなみ、歴史と武の精神を象徴するものとして命名された。
関係筋によれば、今後は装備の取り付けや試運転を経て、来年度中の就役を目指すという。列強との緊張が高まる中、武蔵の存在は日本海軍の象徴たる抑止力として期待が寄せられている。
— RekisyNews 社会面 【1940年】
