アンネ・フランク姉妹、アウシュヴィッツからベルゲン・ベルゼンへ移送される

【ポーランド南部・アウシュヴィッツ 10月30日】

現地関係筋の情報によれば、今月末にかけて、ナチス・ドイツが占領地に設けた強制収容所「アウシュヴィッツ=ビルケナウ」から、複数のユダヤ系女性囚人がドイツ北部のベルゲン・ベルゼン収容所へ移送されたという。

このなかには、オランダ・アムステルダム出身の15歳の少女アンネ・フランクと、姉マルゴット・フランクの名も含まれている模様。両名はユダヤ人弾圧を逃れるため約2年間、隠れ家生活を送っていたが、今夏にナチスによって発見され逮捕、以降ヴェステルボルクを経てアウシュヴィッツに収容されていた。

ベルゲン・ベルゼンは医療・衛生環境が極めて劣悪で、近ごろ感染症の拡大も報告されており、体力を消耗した女性や子どもにとっては深刻な脅威となる。今般の移送が何を意図するものか、明らかにはされていないが、事実上の労働力分散・収容施設の整理とみられている。

フランク一家はオランダに逃れていたドイツ系ユダヤ人で、父オットー氏も現在収容中。少女アンネは日記を綴る習慣があり、彼女の手記は後年、当時の生活や迫害の実態を伝える貴重な証言となる可能性もある

ナチス占領下のユダヤ人状況は日を追って悪化しており、収容者の移送は生存の機会をさらに狭めている。関係者の間では、欧州の終戦が近づくなかでの“最後の圧力”ではないかとの見方も出ている。

— RekisyNews 国際面 【1944年】

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