音楽製作者の権利を国際的に保護へ――ジュネーブで新条約に18か国が署名

【ジュネーブ 10月29日】

本日、スイスのジュネーブにおいて、音楽レコード製作者の権利保護を目的とした国際条約「許諾を得ない複製からのレコード製作者の保護に関する条約」(通称:ジュネーブ・レコード条約)の署名式が行われた。アメリカ合衆国、日本、西ドイツなど18か国が署名国として名を連ね、音楽レコードの無断複製行為(海賊版)への国際的な規制強化に向けた一歩を踏み出した。

この条約は、既存の「実演家・レコード製作者及び放送機関の保護に関する条約」(ローマ条約)に未加盟であった米国などを念頭に、より簡潔かつ実効性の高い保護枠組みとして構想されたものである。署名国の国内法整備を通じて、レコード製作者が許可していない複製物の輸入・販売・配布が禁止されることになる。

背景には、近年の音楽産業における海賊版被害の深刻化がある。とりわけアジア・中南米諸国を中心に、正規版と見分けのつかない複製レコードが流通し、正当な製作者や権利者に甚大な損害をもたらしているとの指摘が各国の音楽団体から上がっていた。

今回の条約では、著作権とは別に、レコード製作者固有の「隣接権」の概念を明確化し、各国における国内法上の保護を義務づけた点が注目される。批准・発効に至れば、音楽業界全体における著作隣接権保護の国際的な枠組みが一段と強化される見通しだ。

条約は3か国の批准により効力を発する予定で、今後の各国議会による承認が焦点となる。

— RekisyNews 法制面 【1971年】

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