【東京 10月29日】
本日、ソニー株式会社は東京都内にて、独自開発によるカラービデオ録再機の試作機を初公開した。映像メディアの新たな可能性を示すこの発表は、将来のビデオテープレコーダ(VTR)技術の進化に向けた重要な一歩となる。
発表された試作機は、カセット式ビデオテープを用いた録画・再生装置であり、操作性の簡便さやカセット交換の容易さなど、従来のリール式VTRに比べて格段の進化を遂げている。特に、カラーテレビ放送の普及が進む中で、カラー映像を手軽に録画・再生できる点に業界関係者の注目が集まった。
今回のソニー単独の試作発表は、後に業務用ビデオの主流となる「U規格」(通称:Uマチック)の原型とも位置づけられており、VTR市場の今後を占う先駆的な動きである。ただし現時点では、機器の価格やサイズの点で家庭用市場への普及は課題を残しており、用途は主に放送・教育・産業分野への応用が見込まれている。
なお、規格の統一や複数メーカーによる共同開発体制の構築は、来年以降に本格化する見通しであり、ビデオ録再技術の標準化に向けた議論が水面下で進んでいる。
VTRの小型化・カセット化により、映像の記録と再生は今後より身近な存在となる可能性を秘めている。今日の発表は、その未来像に向けた最初の大きな一歩と言えるだろう。
— RekisyNews 技術面 【1969年】
