【神奈川県横浜市 10月29日】
本日、Jリーグに加盟する横浜フリューゲルスと横浜マリノスの両クラブが、来季より合併することを正式に発表した。 横浜市を本拠とする2つのプロサッカークラブが、1999年シーズンから「横浜F・マリノス(仮称)」として統一される見通しで、関係者やサポーターに大きな波紋を広げている。
合併の背景には、横浜フリューゲルスの親会社である佐藤工業の経営不振があるとされる。同社はこれまでクラブ運営を単独で支えてきたが、経営悪化により継続が困難となり、共同親会社である全日空(ANA)がクラブ運営から撤退を決定。 その後、日産自動車を親会社に持つマリノス側との統合案が急浮上し、本日の発表に至った。
Jリーグとしても前例のない“クラブ合併”という措置に、両クラブのサポーターからは戸惑いと怒りの声が噴出。 特に、創設以来の歴史を重ねてきたフリューゲルスの存続を求める署名運動や抗議活動が早くも始まっており、「吸収合併ではなく、真の統合を」「クラブの誇りを守れ」といった訴えが各地で見られている。
現時点では、新クラブの名称・エンブレム・運営体制などは協議中とされているが、「F」はフリューゲルスの精神を引き継ぐ証として名称に残される方向が示唆されている。
プロサッカー黎明期からJリーグを支えた両雄の“統合劇”は、経済的現実と地域文化のはざまで揺れ動いている。 来季の新体制発足に向け、今後の議論と対応が注目される。
— RekisyNews スポーツ面 【1998年】
