探査機ガリレオ、小惑星ガスプラに史上初の接近成功──人類、小天体観測の新時代へ

小惑星ガスプラ

【アメリカ航空宇宙局(NASA)10月29日】

本日、NASAが打ち上げた木星探査機「ガリレオ(Galileo)」が、地球と火星の間に位置する小惑星「ガスプラ(Gaspra)」に接近し、史上初となる小惑星へのフライバイ(接近観測)に成功した。 これは人類が人工探査機によって小惑星に接近して観測を行った初の事例であり、惑星科学の歴史における画期的な一歩となった。

ガリレオは、本日未明(日本時間)にガスプラからおよそ1,600キロメートルの距離まで接近。 高解像度カメラや赤外線分光計などを用いて、形状、表面の地質、反射率、クレーターの分布など、多数の観測データを収集した。NASA関係者によれば、ガスプラはおよそ20×12キロメートルほどの不規則な形状をしており、表面には多数の衝突痕が確認された。

探査機ガリレオは1989年にスペースシャトル・アトランティスから打ち上げられ、1995年の木星到達を目指して旅を続けている。 今回のガスプラ接近はその途中で行われた観測活動の一環であり、今後も別の小惑星「イダ(Ida)」や木星の衛星群への接近が予定されている。

科学者らは、今回の成功により、これまで望遠鏡でしか捉えることができなかった小惑星の詳細な姿を初めて直接捉えられたことを「歴史的快挙」として高く評価。 小惑星は太陽系形成初期の情報をとどめる「タイムカプセル」とも言われており、今後の解析によって太陽系の起源や進化の理解に大きく寄与すると期待されている。

宇宙探査の新たな扉が開かれた今、地球から遠く離れた小さな天体が語る「過去の物語」に、科学者たちの関心が一層集まりそうだ。

— RekisyNews 科学面 【1991年】

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