スペイン初の鉄道、バルセロナ—マタロー間で正式開通――大陸南西部に鉄路の時代到来

【バルセロナ 10月28日】

本日、スペイン王国における最初の鉄道路線が、バルセロナとマタロー(Mataró)を結ぶ区間で正式に開通し、記念列車の運行が盛大に行われた。 全長は約28キロメートルに及び、カタルーニャ地方の経済発展と近代化を象徴する一大事業として、関係者や市民から大きな注目を集めている。

開業式典には官民の要人や鉄道建設関係者が多数列席し、祝砲と音楽のなか、バルセロナ駅を発車した蒸気機関車が滑らかに海沿いの線路を走行。 到着地マタローでは多くの住民が出迎え、拍手と歓声で列車を歓迎した。

この鉄道の建設を主導したのは、カタルーニャ出身の企業家ミケル・ビビリャ(Miquel Biada)氏。 同氏はかねてよりイギリスなど欧州各国で進む鉄道技術に強い関心を抱いており、スペインにもその利便性と産業効果を導入すべきと考えていた。

工事は1840年代初頭より構想され、実際の建設は難工事を伴ったものの、外国人技師らの協力と市民の支援によって無事完成。 特に、地中海沿岸を走るこの路線は、港湾都市バルセロナと織物産業の盛んなマタローを直結することで、商業流通と人の往来に革新をもたらすと期待されている。

この鉄道はイギリス製の機関車を採用しており、運行速度は馬車に比して圧倒的に速く、所要時間を大幅に短縮。 また、沿線各地の農産物や工業製品の輸送効率も格段に向上する見込みである。

スペイン本土ではこれまで鉄道網の整備が遅れていたが、本日の開通は鉄道時代の本格的到来を告げる歴史的節目であり、今後マドリードやセビリアなど他都市への延伸も検討されている。

産業革命の波がイベリア半島にも押し寄せつつあるなか、鉄道は国土の結び目となり、スペインの経済と社会に新たな地平を開くものとなるだろう。

— RekisyNews 経済面 【1848年】

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