【ニューヨーク/ワシントン 10月25日】
世界経済を揺るがす石油危機が、いよいよ重大な局面に突入した。本日、米系を中心とする国際石油資本(いわゆる“石油メジャー”)の5社が、中東産原油の供給を今後10%削減する方針を各国の石油会社に通告。すでに緊張が高まっている国際エネルギー市場に、さらなる混乱が予想される。
減産を通告したのは、エクソン、モービル、シェル、BP、テキサコの大手5社。通告では、アラブ産油国による対イスラエル支援国(とされる米国、オランダなど)への“石油禁輸措置”の影響を理由に、安定供給の維持が困難となったとしており、各国政府は対応に追われている。
この動きを受け、アメリカ政府は国家安全保障会議を緊急招集し、国防総省が全軍に対し警戒態勢レベル「デフコン3」を発令。これはキューバ危機以来の事態であり、中東戦線への関与拡大を懸念する声も広がっている。
第四次中東戦争(ヨム・キプール戦争)に端を発したこの危機は、単なる産油国の政治的圧力にとどまらず、世界の供給網や経済成長の根幹を揺るがす地政学的な脅威として国際社会に迫ってきている。
欧州各国でもガソリン価格の高騰が続き、日本を含む各国のエネルギー政策転換や備蓄戦略の見直しは急務となりそうだ。今後の推移によっては、1970年代の世界経済構造そのものが再定義される可能性もある。
— RekisyNews 経済面 【1973年】
