「日本民藝館」開館──柳宗悦氏、暮らしの美を讃える拠点を東京に設立

【東京・駒場 10月24日】

本日、思想家で美術評論家の柳宗悦(やなぎ・むねよし)氏は、「日本民藝館」の設立を正式に発表し、東京・目黒区駒場にその開館を迎えた。この施設は、民衆の生活の中に宿る“用の美”を讃える運動の中核として、今後大きな役割を果たすものと期待される。

柳氏は1920年代から、陶磁器や染織、木工品など、名もなき職人たちによって生み出された日用品の中にこそ真の美があるとする「民藝運動」を提唱。民藝館の設立はその思想を具現化する場として長年構想されていた。

館内には、李朝陶器、沖縄の染織、アイヌの民具、江戸期の民家道具など多彩な工芸品が展示されており、いずれも柳氏自身が国内外を巡って蒐集してきた貴重な品々である。

開館にあたり柳氏は、「美は特権階級のためにあるのではなく、民の暮らしの中にこそ宿る。民藝館はその証を広く伝える場である」と語り、あらゆる人々が足を運び、日常の中の美に目を向ける契機となることを願った。

工芸家の濱田庄司氏や河井寛次郎氏らも協力者として名を連ねており、今後、展示や講演などを通じて民藝思想の普及が進む見通しである。

— RekisyNews 文化面 【1936年】

アイキャッチ画像 Kamemaru2000 – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=9399814による

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