【ロサンゼルス 8月11日】
本日夕刻、ロサンゼルス南部のワッツ地区で、州ハイウェイパトロールによる若年男性の交通取締りをきっかけに群衆が集結、警官隊との衝突に発展した。現場周辺では投石・車両横転・店舗の破壊が相次ぎ、夜間に入り放火も発生。消防隊は消火活動中に妨害を受け、一部区域で後退を余儀なくされた。市警は増援を投入し、主要交差点を封鎖して事態の沈静化を図っている。
騒動の発端は、南部幹線道路沿いでの酒気帯び運転の疑いによる停止命令。逮捕手続きの過程で口論と揉み合いとなり、周囲に居合わせた住民らが警官の対応に抗議、ほどなく見物人が群衆へと拡大した。やがて近隣一帯で緊張が連鎖的に高まり、103丁目通りやアバロン大通りなどで小競り合いが散発。路上ではバスの運行が止まり、店舗は急ぎシャッターを下ろした。
市当局は、夕刻以降の夜間外出自粛を呼びかけるとともに、追加部隊を動員して主要動線をパトロール。取締り線の外へ人の流れが広がらないよう、交差点ごとに検問を設けた。警察幹部は「負傷者の救護と延焼阻止を最優先する」とし、無用な挑発行為を控えるよう市民に重ねて求めている。病院には負傷者が搬送されており、救急隊は出動を続けている。
背景には、治安当局と地域住民の間でくすぶる不信と緊張がある。市内では近時、職務質問や逮捕のあり方をめぐる不満が高まっており、地域指導者は「対話の場の早期設定」を要請。教会やコミュニティ団体は、青年らに帰宅を呼びかけつつ、当局に冷静な対応を求めている。
市中心部との連絡道路は部分的に通行止め。公共交通機関は運行を縮小し、夜間の便は状況次第でさらなる変更が見込まれる。当局は「状況は流動的」としており、明朝にかけて追加の秩序回復措置を検討するとしている。
— RekisyNews 国際面【1965年】