【和歌山県沖 10月24日】
本日未明、神戸港を出港し横浜港へ向かっていたイギリス商船ノルマントン号が、和歌山県串本町沖で沈没し、乗船していた日本人乗客25名全員が死亡するという痛ましい海難事故が発生した。一方で、乗組員および外国人乗客は全員救助されたことが明らかとなり、現地では強い衝撃と憤りが広がっている。
ノルマントン号はイギリス国籍の蒸気船で、乗客・乗員は計約50名。うち日本人乗客25名は3等客室に収容されていたとされ、事故発生時に十分な避難措置が取られなかった可能性が浮上している。対照的に、イギリス人を含む外国人乗客や船員らはボートで脱出し、全員が救出されている。
この不均衡な生存状況を受けて、「人種によって扱いが分けられたのではないか」との批判が国内世論で高まっている。また、事故を引き起こした責任について、日本の司法が及ばない治外法権の壁が立ちはだかっている点も、改めて不平等条約の問題を浮き彫りにしている。
現場近くでは、地元の漁民らが引き揚げ作業や遺体の収容にあたり、沈没船の状況調査も始まった。政府は外交ルートを通じてイギリス側に説明と対応を求めていく方針であり、今後、国際世論を巻き込んだ外交問題に発展する可能性もある。
今回の事故は、日本が直面している法的主権の限界と、人種的偏見が入り交じった植民地的構造の現実を象徴する事件として、深刻な波紋を呼んでいる。
— RekisyNews 社会面 【1886年】
