【ロンドン 10月23日】
本日、イギリスとスペインの間で正式に戦争状態が宣言された。これは、通称「ジェンキンスの耳の戦争(War of Jenkins’ Ear)」として後世に名付けられることとなる紛争で、主戦場はカリブ海域を含む西インド諸島、さらに南北アメリカ大陸の一部にも及ぶ見込みだ。
戦争の発端は、1731年に遡る。スペイン艦船が密貿易の取り締まり中、イギリスの商船船長ロバート・ジェンキンスを拿捕し、その場で彼の片耳を切り落とすという事件が起きたとされる。ジェンキンスは後年、この「耳」をホルマリン漬けにして保管し、1738年にイギリス議会へ持参して証言を行ったことで、反スペイン感情が一気に高まりを見せた。
かねてより、両国は西インド諸島での貿易権や海上覇権を巡って摩擦を抱えており、今回の宣戦布告は長年の経済的・植民地的対立がついに軍事衝突に至ったものと見られる。イギリス政府は、通商航路の安全確保と「国民の尊厳の回復」を掲げており、すでにカリブ方面には海軍部隊の派遣が進められている。
市民の間では、今回の開戦を「議会の煽動によるもの」と見る向きもある一方、スペイン側は「正当な取締りであり、イギリスが挑発した」と主張。今後の戦局は不透明であるが、欧州本土の列強各国もまた、この地域の覇権争いに注視している。
— RekisyNews 欧州面 【1739年】