【ベルリン 8月11日】
第11回オリンピックの水泳女子200メートル平泳ぎ決勝で、本日、日本の前畑秀子(日本女子商大倶楽部)が接戦を制し金メダルを獲得した。日本女子の五輪金は史上初。地元ドイツの強豪ゲネンゲルを相手に最後のタッチで前に出ると、会場は割れるような歓声に包まれた。
決勝は中盤から前畑とドイツ代表の一騎打ち。150メートルを折り返しても半身の差の攻防が続いたが、前畑は終盤にかけてストロークを落とさず、ゴール直前でわずかに抜け出した。場内は総立ちとなり、ラジオ中継では「前畑、頑張れ!」の叫びが繰り返し届けられた。
前畑は前回ロサンゼルス大会で銀に終わり、今大会は“雪辱の金”を期して臨んでいた。共同コーチ陣は「序盤を抑え、最後の50メートルで押し切る設計どおり」と胸を張る。水泳チーム関係者は「男子に肩を並べる女子の金は、日本水泳陣にとって新しい章の始まり」と語った。
日本選手団本部は「女子選手の育成と科学的トレーニングの成果」と総括。国内では号外が配られ、各地の街頭ラジオ前に人だかりができた。帰国後は各地で祝賀行事が予定される見込みだ。
— RekisyNews スポーツ面【1936年】