原油価格に激震──アラブ産油国が一方的に約70%引き上げを通告

【リヤド/東京 10月23日】

中東での戦火が激化する中、アラブの主要産油6カ国(OPEC中東加盟国)が、今月16日付で原油の公式販売価格を一方的に約70%引き上げたことが明らかとなり、世界の原油市場が激震に見舞われている。これにより、第一次オイルショックの様相が現実のものとなってきた

新たな公示価格は、従来の1バレル=3ドルから5.11ドルへと大幅に引き上げられた。引き上げを主導したのは、サウジアラビア、クウェート、イラク、イラン、アブダビ、カタールといったアラブ産油国で、アメリカやオランダなどイスラエル支援国への石油供給削減も同時に打ち出されている

この突然の決定は、第四次中東戦争(ヨム・キプール戦争)に対する欧米諸国の対応への不満が背景にあり、石油が外交圧力の手段として使われた初のケースとして注目されている

日本政府はエネルギー庁と通産省を中心に緊急会合を開き、石油備蓄の確認と今後の輸入対策、さらには国民生活と産業への影響を最小限に抑えるための方針を模索している。

原油高騰はすでにガソリンや灯油価格に影響を及ぼしており、年末に向けてインフレ圧力が強まる可能性がある。各企業では省エネ対応の検討が進み、代替エネルギーへの関心も高まっている。

今回の動きは、長年続いた国際石油資本による価格支配体制の崩壊を意味し、資源外交の時代の到来を告げる歴史的な転換点となった。

— RekisyNews 経済面 【1973年】

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