【アーヘン 10月19日】
本日、西ドイツのアーヘン市において、音楽と踊りを新たな形で楽しむ娯楽施設「スコッチクラブ」が開店し、注目を集めている。この店舗は、従来のライブ演奏を伴わず、レコードを用いて音楽を流し、客が自由に踊るスタイルを採用した、世界初の「ディスコテーク」である。
初日の夜、店内には地元の若者を中心に多数の客が詰めかけ、軽快なビートの音楽に合わせてダンスに興じる光景が広がった。レコードを操作するのは、「ディスクジョッキー」と呼ばれる人物で、音楽の選曲と流れを一手に担い、会場の雰囲気を盛り上げる。この日、スコッチクラブでプレイしたのはクラウス・クイック氏で、彼は音楽の合間に軽妙なトークも挟み、聴衆の喝采を浴びた。
この革新的な試みは、生演奏に頼らずに音楽空間を演出できるという点で、都市部の若者文化に新風を吹き込むものと期待されている。特に、ジャズやロックンロールのレコードが次々に流される中、男女問わず開放的に踊る様子は、戦後世代の自由な自己表現の象徴ともいえよう。
店舗関係者は「音楽と踊りをもっと身近に楽しんでほしい」と語り、今後も多様なジャンルの音楽を取り入れていく方針だ。
「ディスコテーク」という新しい文化の芽吹きが、ここドイツから世界へと広がっていくのか、注目が集まっている。
— RekisyNews 文化面 【1959年】