ソ連の探査機ベネラ4号、金星への突入に成功──史上初の金星大気観測を実現

【モスクワ 10月18日】

本日、ソビエト連邦宇宙局は、無人金星探査機「ベネラ4号」が、金星の大気圏への突入および観測任務を成功裏に遂行したと正式に発表した。これは人類史上初めて、地球以外の惑星の大気を直接観測することに成功した快挙であり、世界の宇宙科学に新たな一章を刻んだ。

ベネラ4号は、今年6月にバイコヌール宇宙基地から打ち上げられた金星探査機で、本体から分離された直径1メートルの降下カプセルが、現地時間で本日午前、金星の大気に突入。その後、大気の温度・圧力・成分などを測定しながら地表へ降下した

ソ連宇宙局の発表によれば、カプセルは降下中に「高濃度の二酸化炭素と高温・高圧の環境」を検知し、これにより金星の表面環境が生命にとって極めて過酷であることが明らかとなった。計測データは、大気圧は地球の約75倍、温度は300度を超えていたとされる。

観測データは、カプセルが約93分間にわたり信号を地球に送信した後に途絶。着陸後に通信が切れたため、地表でのデータ取得は確認されていないものの、「金星に着地した初の人工物体」となる可能性が高いとされている。

この成果に対し、ソビエト当局は「社会主義科学の勝利」と高らかに宣言。宇宙競争が続く米国側も、NASA関係者が「歴史的な業績であり、今後の金星探査に多大な影響を与えるだろう」とのコメントを発している。

ベネラ4号の成功は、ソ連宇宙開発の技術的成熟を強く印象づけるとともに、惑星間探査の時代が本格的に幕を開けたことを世界に知らしめた。

— RekisyNews 科学面 【1967年】

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