【江戸 10月17日】
本日、江戸幕府が新たに鋳造した金貨「元禄小判」の流通が、正式に江戸市中で始まった。これは、従来の慶長小判に代わる新型の貨幣であり、貨幣制度における大きな転換点として注目を集めている。
元禄小判は、金の含有率を従来よりも引き下げた「改鋳小判」とされ、その重量・品位ともに慶長小判より劣る。具体的には、金含有率が低下し、銭座関係者によれば「見た目は金色ながらも、手に取れば明らかに軽い」との評もある。
幕府の財政事情を背景に、貨幣量を増やしつつ金の保有量を温存する狙いがあるとみられ、勘定奉行筋からも「市中の通貨不足を解消し、流通を円滑にすることが目的」との説明がなされている。
一方、市井の商人たちの間では、「額面価値に対し実質の金の価値が下がった」として、物価上昇への懸念も広がっており、すでに両替商では元禄小判の受取を嫌う動きも一部で見られた。
また、職人や農民の間では、「銭に信用がなくなれば、取引が難しくなる」との声もあり、幕府の経済政策に対する不安が静かに広がり始めている。
今回の改鋳によって貨幣経済がどう変化していくのか、今後の市場の反応に注目が集まる。
— RekisyNews 経済面 【1695年】